旅日記 PART2 聖なる岩にいざなわれ
「イルカとの出会い」

ハワイ島では イルカたちに逢いにゆく。
イルカは、わたしにとってとても縁を感じる「仲間」だ。
10数年前、ある夢をみた。
わたしはひとりで砂浜にたっていて、海のほうを眺めて待っていた。
海の沖から「父」と「恋人」がやってくるのだ。
「おとうさん」と「愛する人」がやってくる。
歓びに満ちて私は待ちきれずに波間に飛び込む。
そしてそのまま、水をきって泳ぐのだ。
3人で、連れ立って。
その水をきって泳ぐ感覚があまりに気持ちよくて、目が醒めても憶えていた。
先を泳ぐ 2人の 足がなぜか イルカの尾だったのに気づいて、目が醒めてから
なんか変な夢だな と思った。わたし自身もイルカになっていた。
でもとにかく、その泳ぐ感覚がすばらしく心地よくて(実際わたしは泳ぎは苦手なんだけど)
忘れられなかった。
当時はイルカといえば水族館・・・という認識が一般的で、
わたしも実際にイルカと一緒に泳いでみたいな・・という発想にはならなかった。
それから数年後に行ったハワイでオアフ島に当時住んでいたダーマという人から
クリスタルヒーリングというものを 初めて受けた。
横になって、ただただ リラックスして、そして
身体に石を置いてゆく。眠っているような 醒めているような不思議な感覚・・・。
そのときに 彼女が感じたことを書き付けたものをメッセージカードにしてくれる。
それに一行、「イルカと一緒に海でメディテーションするとよいでしょう」と書かれていた。
は? 海の中でイルカと瞑想?・・・ いったいなんのこと?という感じだった。
でもそんなことが可能なら 素敵だ。
でもその数ヵ月後、ナディアとはまったく別の仕事をしているときに(まだナディアをはじめる前でした)
ある人にこの夢の話を していたら、
その人のボーイフレンドが、ダイビングインストラクターで、
なにか 海でイルカと泳ぐことができるところを知っていると言っていた。
ピンときてすぐに 彼を紹介してもらった。
彼(通称:ジャック)は最近、海でイルカと泳ぐという体験をはじめてしたばかりだった。
とても感動的だったという。
次のシーズンには、そこへ一緒に連れて行ってもらうことになった。
伊豆諸島、御蔵島。
当時はまだ 宿泊施設も少なく、イルカと泳ぐために来る人もほとんどいなくて、
ジャックの知り合いで もと民宿をしていたという 家に 素泊まりさせてもらった。
わたしはそこで 初めて 野生のイルカと 逢った。
足のつかないところでは泳いだことがなかったくせに
イルカの群れがこちらにむかってやってきたと知ったとたん
いつのまにか 海のなかに 落っこちていた。
あわてながらも、海のなかで彼らに出会った。
彼らはすごく近くに寄ってきた。
そしてじっとこちらを見る・・・。
その目は なにか すべてを見透かしているようで
瞬間ですべてを語っているように見えた。
海のなかで彼らと出会う その感覚にとりつかれて、
それから毎年夏、御蔵島へ通った。
イルカたちとの仲介をしてくれたジャックはそれからまもなくオーストラリアに移住し、
やはり海に関する仕事をしているらしい。
写真:御蔵島で一緒に泳いでくれた親子のイルカ
仲良くなると子供を紹介してくれる。
その後もずっと、肝心なときには イルカが夢に出てくる。
とても傷ついていたときには
わたしの両手が血を流していて
それをたくさんのイルカが集まって癒してくれる夢をみた。
大きな変化があったころには
石畳のうえの小さな水溜りに飛び込む練習をさせられる夢をみた。
勇気を出して信じてその水溜りに飛び込むと
あたたかい青い海につながっていた。
そこにたくさんのイルカが待っていて
一緒に気持ちよく泳いだ。
「え?でもここは石畳だったはず」と思った瞬間に
また石畳のうえに戻される。
そしてまた飛び込みのレッスン。
「目に見えるものにとらわれずに信じる」の
トレーニングだったのかもしれない。
つづく